クラウドコントローラマネージャー(CCM)のコンセプト(バイナリと混同しないでください)は、もともとクラウドベンダー固有のソースコードと、Kubernetesのコアソースコードを独立して進化させることが出来るように作られました。クラウドコントローラーマネージャーは、Kubernetesコントローラーマネージャー、APIサーバー、そしてスケジューラーのような他のマスターコンポーネントと並行して動きます。またKubernetesのアドオンとしても動かすことができ、その場合はKubernetes上で動きます。
クラウドコントローラーマネージャーの設計は「プラグイン機構」をベースにしています。そうすることで、新しいクラウドプロバイダーがプラグインを使ってKubernetesと簡単に統合出来るようになります。新しいクラウドプロバイダーに向けてKubernetesのオンボーディングを行ったり、古いモデルを利用しているクラウドプロバイダーに、新しいCCMモデルに移行させるような計画があります。
このドキュメントでは、クラウドコントローラーマネージャーの背景にあるコンセプトと、それに関連する機能の詳細について話します。
これが、クラウドコントローラーマネージャーを除いた、Kubernetesクラスターのアーキテクチャ図です。
上で示した図で分かるように、Kubernetesとクラウドプロバイダーはいくつかの異なるコンポーネントを通じて連携します:
CCMは、前述した3つのコンポーネントのクラウド依存のロジックを統合し、クラウドとの単一の連携ポイントとなります。CCMを利用した新しいアーキテクチャは下記のようになります:
CCMは、Kubernetesコントローラーマネージャー(KCM)からいくつかの機能群を切り離し、別のプロセスとして動かします。具体的には、KCMに含まれるクラウド依存のコントローラーを分離します。KCMは、下記に示すクラウド依存のコントローラーループを持っています:
バージョン1.9では、CCMは前述のリスト内の下記コントローラーを動かします:
備考: ボリュームコントローラーは、意図的にCCMの一部になっていません。複雑さと、ベンダー固有のボリュームロジックを抽象化するのに費やした労力を考え、CCMの一部に移行しないことが決定されました。
CCMを使ったボリュームをサポートする元の計画は、プラガブルなボリュームをサポートするため、Flexボリュームを使うことでした。しかし、競合しているCSIとして知られている機能が、Flexを置き換える予定です。
これらのダイナミクスを考慮し、我々はCSIが利用できるようになるまで、間を取った暫定措置を取ることにしました。
CCMは、クラウドに依存しているKubernetesのコンポーネントから機能を継承しています。このセクションはそれらのコンポーネントをベースに構造化されています。
CCMの大半の機能は、KCMから派生しています。前セクションで説明したとおり、CCMは下記のコントロールループを動かします:
ノードコントローラーは、クラウドプロバイダーからクラスター内で稼働しているノードの情報を取得し、初期化する責務を持ちます。ノードコントローラーは下記に示す機能を実行します:
ルートコントローラーは、クラスタ内の異なるノード上で稼働しているコンテナが相互に通信出来るように、クラウド内のルートを適切に設定する責務を持ちます。ルートコントローラーはGoogle Compute Engineのクラスターのみに該当します。
サービスコントローラーは、サービスの作成、更新、そして削除イベントの待ち受けに責務を持ちます。Kubernetes内のサービスの現在の状態を、クラウド上のロードバランサー(ELB、Google LB、またOracle Cloud Infrastructure LBなど)に反映するための設定を行います。更に、クラウドロードバランサーのバックエンドが最新の状態になっていることを保証します。
ノードコントローラーは、kubeletのクラウドに依存した機能も含んでいます。CCMの登場以前、kubeletはIPアドレス、リージョン/ゾーンラベル、そしてインスタンスタイプ情報のような、クラウド特有の情報を元にノードを初期化する責務を持っていました。CCMが登場したことで、この初期化操作がkubeletからCCMに移行されました。
この新しいモデルでは、kubeletはクラウド特有の情報無しでノードを初期化します。しかし、新しく作成されたノードにtaintを付けて、CCMがクラウド特有の情報でノードを初期化するまで、コンテナがスケジュールされないようにします。その後、taintを削除します。
クラウドコントローラーマネージャーは、Goのインターフェースを利用してクラウドの実装をプラグイン化出来るようにしています。具体的には、こちらで定義されているクラウドプロバイダーインターフェースを利用しています。
上で強調した4つの共有コントローラーの実装、そしていくつかの共有クラウドプロバイダーインターフェースと一部の連携機能は、Kubernetesのコアにとどまります。クラウドプロバイダー特有の実装はコア機能外で構築され、コア機能内で定義されたインターフェースを実装します。
プラグインを開発するためのさらなる情報は、クラウドコントローラーマネージャーを開発するを参照してください。
このセクションでは、CCMが操作を行うために様々なAPIオブジェクトに必要な権限を分類します。
ノードコントローラーはNodeオブジェクトのみに対して働きます。Nodeオブジェクトに対して、get、list、create、update、patch、watch、そしてdeleteの全権限が必要です。
v1/Node:
ルートコントローラーは、Nodeオブジェクトの作成を待ち受け、ルートを適切に設定します。Nodeオブジェクトについて、get権限が必要です。
v1/Node:
サービスコントローラーは、Serviceオブジェクトの作成、更新、削除イベントを待ち受け、その後、サービスのエンドポイントを適切に設定します。
サービスにアクセスするため、list、watchの権限が必要です。サービスを更新するため、patch、updateの権限が必要です。
サービスのエンドポイントを設定するため、create、list、get、watchそしてupdateの権限が必要です。
v1/Service:
CCMコア機能の実装は、イベントのcreate権限と、セキュアな処理を保証するため、ServiceAccountのcreate権限が必要です。
v1/Event:
v1/ServiceAccount:
CCMのRBAC ClusterRoleはこのようになります:
apiVersion: rbac.authorization.k8s.io/v1
kind: ClusterRole
metadata:
name: cloud-controller-manager
rules:
- apiGroups:
- ""
resources:
- events
verbs:
- create
- patch
- update
- apiGroups:
- ""
resources:
- nodes
verbs:
- '*'
- apiGroups:
- ""
resources:
- nodes/status
verbs:
- patch
- apiGroups:
- ""
resources:
- services
verbs:
- list
- patch
- update
- watch
- apiGroups:
- ""
resources:
- serviceaccounts
verbs:
- create
- apiGroups:
- ""
resources:
- persistentvolumes
verbs:
- get
- list
- update
- watch
- apiGroups:
- ""
resources:
- endpoints
verbs:
- create
- get
- list
- watch
- update
下記のクラウドプロバイダーがCCMを実装しています:
CCMを設定、動かすための完全な手順はこちらで提供されています。
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